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気象庁が決めている「平年値」とは?【計算方法も解説】

天気予報で「平年より◯℃高い」って言ってるけど、平年ってなに?何を基準にしてるの?

暑い時期や梅雨の時期に、

「明日は平年より気温が高くなりそうです。」
「今年の梅雨は平年より降水量が多くなりました。」

と聞くことがあるかもしれません。

なんとなく「平均値と比べて高い(多い)のかなぁ」という感じはしますが、具体的に「平年」っていつのことなのでしょうか。

この記事では、気象庁が定めている平年値について解説していきます。

平年値とは

平年値とは、気象(気温・降水量等)や天候(暖冬・少雨等)を評価する基準として利用される値です。

気象庁では過去30年間の平均値を平年値として使用しています。

平年値は毎年更新されるわけではなく、10年ごとに更新されます。

2020年に使われている平年値は「1981年~2010年の平均値」です。

そのため、猛暑だった2018年のデータや、記録的な暖冬となった2020年冬のデータは、まだ平年値に反映されていません。

なんで30年平均?

世界気象機関(WMO)の規則によって、30年間の観測値を使って平年値を作成しています。

なんで10年ごとの更新?

気候変動や観測地点の変化等を考慮して、10年ごとに更新しています。日本以外にも、欧米を含む多くの国で同じように運用されています。

2021年の平年値はどう変わる?

次に平年値が更新されるのは2021年です。「1991年~2020年の平均値」が平年値になります。

新しい平年値が運用されるのは来年になってからですが、今年すでに観測された値を用いることで新しい平年値は計算できるはずです。

そこで、現在の平年値来年以降の新しい平年値がどのように変わるのか比較してみました。

熊谷の日最高気温

熊谷は全国1位となる41.1℃を観測した地点です(2020年8月20日現在)。

熊谷の日最高気温の平年値を比較すると、下図のようになります。

新しい平年値のグラフが、上にシフトしていることがわかります。

来年から使われる平年値は、現在の平年値より気温が高くなりそうです。

この期間の最大値を比較すると、現在は32.5℃ですが、新しい平年値は33.2℃になります。

参考気温の平年値の計算方法

平年値は過去30年間の平均値です。

そのため、例えば7月1日の平年値を求めるためには、1991年~2020年の7月1日に観測された30個の値を平均すれば良いことになります。

実際に30個を平均して求めた値をグラフにしました↓↓

単純に平均した値をグラフ化すると、グラフがガタガタしてしまいます。

気温の平年値を利用するときに、7月1日より7月2日のほうが気温が低くなっていると、不都合が生じてしまいます。

そのため気象庁では平滑化した値を平年値として用いています。

平滑化の方法は色々ありますが、前回(2010年)はKZフィルタ(9日間移動平均を3回繰り返す方法)によって平滑化されました。

「平年並み」とは

ある期間の気候の特徴平年との違いの程度を表す方法として「階級区分」というものがあります。

階級区分は「平年より高い(多い)」「平年並み」「平年より低い(少ない)」という表現を使って、ある期間の天候や気象要素が平年と比べてどう違うかを表すものです。

3つの階級は、平年値に用いられる30年間(現在は1981年~2010年)の値をもとに、
・1番目~10番目の範囲に入る→「平年より低い(少ない)」
・11番目~20番目の範囲に入る→「平年並」
・21番目~30番目の範囲に入る→「平年より高い(多い))」
と決めています。(※低い(少ない)順に並べています。)

具体的に、熊谷の7月の平均気温を用いて「平年並み」が何度になるか見ていきましょう。

1981年から2010年の平均値(=平年値)は25.3℃です。「各年の7月の平均気温」と「平年値」をグラフにすると下図のようになります。

続いて「各年の7月の平均気温」と「平年値」の差を求めます。

平年値との差が低い順に並べます。

1番目~10番目の範囲が「平年より低い」、11番目~20番目の範囲が「平年並」、21番目~30番目の範囲が「平年より高い」となります。

よって平年並みの範囲は「-0.3℃~+0.5℃」になります。

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