このように考えている人に向けて記事を書きます。
台風は温帯低気圧に変わっても、勢力が弱くなるわけではありません。
むしろ、台風より大雨や暴風をもたらすこともあります。
今回は台風の温帯低気圧化について解説し、温帯低気圧に変わっても注意が必要な理由を説明します。
「台風が温帯低気圧に変わる」の意味
「台風が温帯低気圧に変わる」とは、「台風の構造」から「温帯低気圧の構造」に変わることを意味します。
台風と温帯低気圧は別物なので、勢力の強弱は関係ありません。
台風は暖かい空気だけで作られていますが、温帯低気圧は暖かい空気と冷たい空気の温度差によって発生する低気圧です。
台風が温帯低気圧に変わる過程
台風が北上する
→ 周りとの気温差が大きくなる
→ 台風に冷たい空気が入る
→ 台風の構造が崩れる
→ だんだん温帯低気圧に変わる
暖かい空気と冷たい空気の境目は前線として表れるため、台風から温帯低気圧に変わるとき、天気図では台風のまわりに前線がつくられるようになります。
温帯低気圧化したあとに大きな被害をもたらした実例
2004年台風18号は、温帯低気圧に変わってから発達して、記録的な強風をもたらしました。
長崎県に上陸したあと、日本海を進むにつれて次第に弱まりましたが、北海道の西で温帯低気圧に変わるときに再び発達。北海道を中心に、風が強く吹きました。
札幌の最大瞬間風速は50.2m/s、観測史上1位となる風の強さです。
北海道大学にあるポプラ並木が多く倒れたことから、「ポプラ台風」と呼ばれることもあります。
台風は温帯低気圧に変わっても注意が必要!
台風が温帯低気圧に変わっても、雨や風が弱まるとは限りません。
むしろ台風のときより強風域が広がり、離れた地域で風の被害が発生することもあります。
天気予報で「台風は温帯低気圧に変わりました」と聞いたときは、雨や風の予想を引き続きチェックするようにしてください。
■参考
・台風について(気象庁)
・解説:温帯低気圧と台風(気象庁)
・2004年(平成16) 9月7日台風第18号(長崎地方気象台)
・平成16年台風18号「ポプラ台風」(北海道防災情報)
・台風18号(国土交通省)